凍りのくじら [本]
久しぶりに「これは面白い!このひとの書いた本を全部読みたい!!」と思った作品だった。
子どもが産まれてからというもの昔に比べるとめっきり本を読む数が減った。
激減したと言っても良い。
きっかけは子育てが原因だったが、今は仕事が忙しすぎる。
日に12時間働くことに抵抗が段々無くなってきている状態では本を読むゆとりはない。
しかもこの12時間の間、昼過ぎに一回昼食を食べる休憩がある以外は休み無く働いているのだ。
パソコンとにらめっこしている時間も長い。
仕事で専門書を読む時間もある。(これに関しては勤務時間外が多い。勤務時間に読んでいる暇もないのだ)
もう目が疲れる。
そんなわけで漫画を気晴らしに読むことがあっても小説は段々積読が増えてきていた。
新刊で夢中に読むのは有川浩くらいだ(笑)。
辻村 深月の本を手に取ったのは本当にたまたまだ。
何か読みたいな〜と文庫コーナーをあさっていて(ハードカバーは重いしかさばるので滅多に購入しない)、何となく眼についた。
作者の名前にも惹かれた。
ミヅキ。深い月。
素敵じゃないか。
本の読み出しには本の世界に入るまでに結構時間のかかるものがある。
時代はいつだろう。
場面はどこだろう。
このひとは何をしているひとだろう。
どんな世界なんだろう。
そんなことを把握するのに結構読み進めないと不安になるのだ。
辻村 深月の作品はあまりそれを感じない。
読み始めた途端一気に作品世界に引き込まれる。
もっともこれは相性の問題だから、全てのひとに当てはまる感想ではないと思うが、私はそうだった。
描かれる人たちに魅力が有り、感情移入がしやすい。
そして、世界を見る目に「女性」を感じさせた。
すごく生々しい。
空想の人たちではない、生々しさ。
この人はこんな物の見方をどうやって身につけたんだろう。
そんなことを思わず思ってしまった。
この「凍りのくじら」ではドラえもんが出て来る。
ドラえもんと云ってもドラちゃんそのものじゃなくて作品としての「ドラえもん」。
私がドラえもんに対してどんな気持ちを持っているかはこちらを読んでいただきたいが、この作品をこういう風に捉えてくれる人に出会えて嬉しかった。
この話はドラえもんみたいに「少し不思議な」物語だ。
生々しいのに不思議な話。
そのアンバランスさが私には面白かった。
不思議であってもそこに描かれる感情はストレートに伝わって来るので、何度か泣かされた。
生きていて味わういろいろなことがいっぱい詰まっていた。
今、辻村 深月の3冊目の作品を読んでいるところだ。
このぶんだと文庫になっている分は全部購入して読むことになりそうだ。
2012-09-09 23:00
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