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解錠師 [本]


解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: スティーヴ・ハミルトン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/12/09
  • メディア: 文庫



本屋さんで平積みしてあったので、購入してみた本。
読んでいて何故か「アルジャーノンに花束を」を思い出した。別に内容は全然かぶってないし、似ているという訳でもない‥‥‥と思うのだが。

ちなみにこの本、受賞歴がいっぱいある。まるで読書感想文を書く時に選ばされる推薦図書みたいで、あんまり受賞歴があるからといって本を選ぶ事は無いのだが、この本は読んで良かったな、と思った。

この本は主人公マイクルの語りですすめられる。ほんの数行読んだだけで、これは面白いぞ、と感じた。
マイクルは8歳のときのある出来事が原因で言葉を発する事が出来なくなった。寡黙である事が彼のひとつの個性となる。また、彼は絵を描く才能とどんな錠も開ける事が出来る才能をもっていた。そのため、彼は犯罪の世界で生きることになってしまう。
彼には恋人が居た。アメリアという語る事の出来ないマイクルの云いたい事を理解しようとし、理解出来る希有な存在だ。愛する人がたったひとりでもこの世に居てくれる。その事がずっと彼を支え続けている。
この物語が素晴らしいのは、「人間」を見事に描き切っている点だろう。
人は選択を繰り返して生きている。生きている事は選択することだと言っても良いくらいだ。
マイクルも様々な選択をし続ける。その結果犯罪の世界で生きることになるが、果たしてそれは避ける事が出来るものだっただろうか。読みながら常にその質問を突きつけられている気がした。
まだ20歳にもならない彼がどんな生き方をしてきたのか。この世界は犯罪の世界であるにも関わらず、あまり今生きている自分の人生と変わらないような気もして来る。
言葉を封じ込めたマイクルが様々な錠を開ける事によって何かを解放して、その魅力に取り付かれるのは当然の事のような気がする。

きっとこの本は何度も読み返すことになるだろう。


2013-08-19 22:53  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

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